まじゅーん診療ブログ

2013/10/30

風邪予防として子供の頃に「外から帰ったらうがいをしましょう」と学校で指導された覚えがあります。今でもごく一般的に言われている事ですが、本当にうがいで風邪の予防になるのか気になりますね。

これは結構有名な2005年に発表された論文の要約です。

http://www.kyoto-u.ac.jp/health/006.htm

この論文によると、うがいをしなかった人と比較して水うがいをした人は風邪をひく可能性が40%も低かったということです。やはり「外から帰ったらうがい」は正しかったわけで、これまでの常識がやっと最近になって証明されたわけです。

 

しかし、この論文には続きがあって「イソジンでうがいをした場合は変わらない」つまり、イソジンうがいは風邪の予防にはならないという衝撃の事実も同時に判明しました。その理由については「イソジンでうがいすることにより、逆にのどに常在する正常細菌叢を壊して風邪ウィルスの侵入を許したり、のどの正常細胞を傷害したりする可能性が考えられる」と論文のなかで考察しています。つまり逆効果になってしまっているということです。

 

うがい薬にも色々あって殺菌と同時に炎症を抑える効果を持つものなどもあります。うがい薬は主に扁桃炎や抜歯後などの感染した状態の殺菌や消炎には有効ですが、あまり長期間続けると口腔内の正常細菌叢のバランスを崩してしまい、逆にカビが生えてしまうことなどが分かってきました。

 

この論文だけで全てを断定することはできませんが、少なくとも水うがいでも十分に風邪の予防にはなると考えていいと思います。またイソジンなどのうがい薬の長期使用は逆に良くないとも言えます。

 

別の研究では緑茶でうがいをするとさらに成績が良くて68%も風邪が少なかったという報告もありました。お茶に含まれている茶カテキンが有効とのことです。すでに20年ほど前からこういったカテキンの有効性の報告はあり、私も以前から患者にうがいはイソジンよりもお茶うがいを勧めていました。インフルエンザの予防にもなるそうなのでこれからはお茶うがいが普及するかもしれません。