まじゅーん診療ブログ

2013/11/29

耳鼻科では親子同時の受診も多いですが当院でも子供が出来てから体調を崩しやすくなったという話をされる方が少なくありません。妊娠前より風邪をひきやすくなった、初めて中耳炎や副鼻腔炎になったというようなお母さんはもとより、お父さんも同じという意見も時々聞かれます

 

その原因のとして以下のことが考えられます。

 

妊娠中はおなかの赤ちゃんを母親の免疫で攻撃しないように軽度免疫を低下させる仕組みになっています。そのため風邪をひきやすく、また治りも遅く、細菌感染症も合併しやすい状態が考えられます。さらに妊娠中には使用できる薬も限られていますので風邪の後に副鼻腔炎や中耳炎になってもすっきり治らず長引く場合もあります。

 

出産後3か月以内は、妊娠出産に伴う体力の低下、出産時の出血による貧血、2時間おきの授乳などや育児での気疲れ、睡眠不足なども重なり、免疫力がかなり低下している状態と考えられ抵抗力が落ちています。またなかには甲状腺などのホルモン機能が低下している場合もありますので注意が必要です。

 

出産後1年以上経って子供がやっと卒乳して落ち着いても相変わらず風邪や副鼻腔炎になりやすい、またなぜか父親も同じように体調を崩しやすい場合は子供からもらっている可能性が高いです。

 

健康な成人が風邪をひく回数は年に2-3回が平均ですが、これに対し免疫が十分に発達していない2歳以下は6-8回と多く、さらに保育園に通いだすとこの2倍近く風邪をひく回数が増えるとのデータもあります(うちもそうでしたが保育園に登園してから急に子供が発熱しやすくなった経験を持っている親御さんは多いと思います。最近では保育園症候群とも呼ばれています)集団保育の中では免疫が未発達な年齢の子供は一人が風邪をひくと蔓延しやすいことを裏付けています。

 

共働き家庭が多いためか沖縄県の3歳児未満の30.9%が保育園に通っており、全国の21.7%と比較してかなり多いです。(沖縄待機児童対策スタディ・グループの報告から)また保育園に通ってなくても兄弟が複数人いる場合も同様です。

 

子供が風邪をひくと、その子の看病をしなければならない親はどうしても濃厚接触となり、感染する確率が高くなります。いくら免疫力が十分高い成人でもそれが頻繁に繰り返されると何回かに1回はうつってしまうこともあるでしょう。それが父親も子供が出来てから体調を崩しやすくなった理由の一つです。

 

この質問をされたとき「子供が風邪をあまりひかなくなるにつれてご両親の体調も元に戻ってくるでしょう。一番下の子が3才になるまで頑張りましょう」といつも話しています。

 

母親はともかく、出産により父親の体質が変わってしまうことはまずないでしょう。

子供からよく風邪をうつされるお父さんは育児に参加している証明かもしれませんね。

 

これが今回の結論です。